ノート:LGQ 4

経験則として、慣性質量と重力質量は等しい(等価原理)。これは高精度で検証されている。
これにより、重力場の効果を局所的には加速度をもつ座標系で模倣することが出来る。

ウッディが定規を持ってレコードプレーヤーの上に乗り、ディスクの円周と直径を測って円周率を求めるとする。このレコードが加速し、光速に近い速度に達したとき、定規がLorentz収縮することで円周の長さは長く測定される。しかし直径方向は速度と直交するため、静止時と同じ直径の値を得る。従って円周率は静止時より増える。
円周と直径の比が  \pi であるのは平坦な空間だけである。この意味で、加速系では空間が曲がってると言える。

一般相対性理論では、重力は空間の歪みとして表される。


曲がった時空における極めて近い2点間の距離は、



ds^2 = g_{\mu\nu} dx^\mu dx^\nu

 g_{\mu\nu} は対称行列で、座標に依存する。
直線という概念がないため、曲線座標という座標系を用いることになる。ここでは、空間が平坦であるのかを直感的に知ることが出来ない。例えば、平坦な時空を極座標で表したもの


 \begin{eqnarray}
ds^2 = -dt^2 + dr^2 + r^2 (d\theta^2 + \sin^2\theta d\varphi^2)
\end{eqnarray}

の計量はMinkowski計量  \eta_{\mu\nu} にはならない。一般に、幾何が平坦ならば、いかなる計量も座標系の変換によって  \eta_{\mu\nu} にすることが出来るはずだ。しかし、そこから導かれる連立方程式非線形であり、解くのは非常に難しい。

曲がった時空は、任意の点において局所的にベクトル空間と見なせる。
しかし、空間内の異なる点におけるベクトルは、別のベクトル空間に属しているため、混合できない。
ベクトルの微分は、近接する点の間で別種の量を比較するものである。点の近傍ではベクトルを考えることができるので、座標自体の差よりも座標の微分の方がベクトルとして扱いやすい。座標自体の変換は非線形で複雑だが、座標の微分の変換則は線形になる。


 \begin{eqnarray}
dx^{\mu'} = {\Lambda^{\mu'}}_\mu dx^\mu, \space \space {\rm with} \space\space {\Lambda^{\mu'}}_\mu = \frac{\partial x^{\mu'}}{\partial x^\mu}
\end{eqnarray}

従って、曲面座標におけるベクトルを、座標の微分の組のように変換する数の組として定義しておく。
下付添字をもつベクトルは、変換行列の逆行列によって変換する。


 \begin{eqnarray}
A_{\mu'} = {\Lambda_{\mu'}}^\mu A_\mu, \space \space {\rm with} \space\space {\Lambda_{\mu'}}^\mu = \frac{\partial x^{\mu}}{\partial x^{\mu'}}
\end{eqnarray}

一時的に  \Lambda 行列が座標に依存しないものと見なして両辺座標に関する微分をとると、


 \begin{eqnarray}
\partial_\nu A_{\mu'} = {\Lambda_{\mu'}}^\mu \partial_\nu A_\mu
\end{eqnarray}

この左辺は新しい座標の量を古い座標で微分していて都合が悪いので、 \frac{\partial x^\nu}{\partial x^{\nu'}}={\Lambda_{\nu'}}^\nu を左から作用させて連鎖律より


 \begin{eqnarray}
\partial_{\nu'} A_{\mu'} = {\Lambda_{\nu'}}^\nu {\Lambda_{\mu'}}^\mu \partial_\nu A_\mu
\end{eqnarray}

これはベクトルの導関数テンソルとして変換する式である。これは上の仮定のもとで成り立っており、曲線座標で成立しない。

これを修正して、対象とするベクトルに比例する(∵線形性)項を付け加えた共変導関数を考える。


 \begin{eqnarray}
\nabla_\mu A^\nu = \partial_\mu A^\nu + \Gamma_{\mu\lambda}^\nu A^\lambda
\end{eqnarray}

 \nabla_\mu は共変微分演算子 \Gamma_{\mu\lambda}^\nu は接続(connection)と呼ばれ、近傍の点を導関数の計算のために接続する役割をもつ。
接続は、計量と併せてはじめから用意される要素である。ただし、

  •  \Gamma_{\mu\lambda}^\nu = \Gamma_{\lambda\mu}^\nu 《捻れがない(torsion free)》
  •  \nabla_\sigma g_{\mu\nu} = 0 《計量両立性(metric-compatible)》

の2つを要求すれば、接続は計量から一意に与えられる。一般相対性理論で用いるRiemann幾何学においては、この要請は満たされる。Riemann幾何における、計量から接続を与える式は、


 \begin{eqnarray}
 \Gamma_{\mu\nu}^\lambda = \frac{1}{2} g^{\lambda\rho} (\partial_\mu g_{\rho\nu}+ \partial_\nu g_{\rho\mu}- \partial_\rho g_{\mu\nu})
\end{eqnarray}

(Christoffelの公式)。Minkowski計量をもつ平坦な空間では接続係数が0になることがわかる。

接続はテンソルではない。