ギャテン語を作りたい2 Acrostatic
ギリシャ語ネスとラテン語ネスをくっつけたいという事なのだが、両言語の特徴としては印欧祖語のアプラウトのシステムが殆ど消失している点にある。今回からアプラウトをなくした印欧祖語の名詞を考えたいと思う。まずはAcrostaticという型から。
多音節語(子音(群)三つ、前からR+S+Eとする)
ノーマルAcrostaticは、強語幹(主格、呼格、対格)は RóSE-、弱語幹(斜格=それ以外)はRéSE-となるタイプのアプラウトで、例として夜という意味の*nókʷ-t-sの主格(nom)、対格(voc)、属格(gen)、与格(dat)の変化をギリシャ語、ラテン語とともに表にしてみる。
格 | 印欧 | 希 | 拉 |
nom | nókʷts | nýx | nox |
acc | nókʷtm̥ | nýcta | noctem |
gen | nékʷts | nyctós | noctis |
dat | nékʷtey | nyctí | noctī |
見て分かる通り、どちらの言語も強語幹に統一されている。そこで問題になるのが、主格と属格の区別になるが、どちらの言語でもoやiを挿入して区別している。
他の語でも同じような語尾の組み合わせなので、強語幹を採用し、アプラウトなし印欧語を以下に設定する。
単数 | 複数 | |
nom | RóSE-s | RóSE-es |
voc | RóSE | RóSE-es |
acc | RóSE-m̥ | RóSE-m̥s |
gen | RóSE-?s | RóSE-oHom |
dat | RóSE-ey | RóSE-su |
abl | RóSE-h₁ | RóSE-?bʰi |
ただし、どの語尾をどの格と結びつけるかは印欧祖語とは少し違っている。例えば、ラテン語の奪格(abl)は印欧祖語の具格由来の語尾だし、ギリシャ語の与格は印欧祖語の所格由来だ。今回、印欧祖語からの変更点は次の通り;
- 属格単数の語尾に、主格単数との区別用母音?を挿入
- 与格の複数に、所格複数の-suを採用(-mosよりも音のつながりが良いためでもある)
- 奪格に具格の語尾を採用し、連結用母音?を挿入
Narten型Acrostaticは、強語幹(主格、呼格、対格)は RḗSE-、弱語幹(斜格=それ以外)はRéSE-となるタイプのアプラウト。ギリシャ語ラテン語ともに、強語幹を採用している。よってこれのアプラウト無し印欧語は、RóSE-をRḗSE-で置き換えたものとする。
語根名詞(子音2つ、RとEのみ)
例が少ないのでなかなか比べようがないが、上からSを除いたものと考えれば問題ないだろう。